サーバーのメーカー・型番・シリアルを一覧化する無料ツール|Ubuntuで部品構成を確認
サーバー・ワークステーションの部品情報をHTML・CSV・JSONに整理する無料ツール。シリアルなしの共有用と保守用を選択し、A100・H100実機で検証しました。
サーバーの保守や増設を相談するとき、「本体の型番は?」「メモリはどのメーカーの何GBですか?」と、確認が何往復も発生することがあります。
そこで、部品情報をHTML・CSV・JSONの一覧に整理する ServerGear Hardware Inventory 0.1.0 を公開しました。初版はUbuntu 24.04 / 26.04向けです。標準はシリアルなしの共有用。必要なときだけシリアル付きの保守用を作れます。
ダウンロードにはメール確認とお知らせ配信への同意が必要です。配信はいつでも停止できます。
動画で使い方を見る
動画は図解・コマンド例と実機検証結果による解説です。音声にはAIナレーションを使用しています。
どのような一覧が作れるのか

上の画面は表示用の架空サンプルです。部品情報を分類・位置・メーカー・モデル・部品番号・容量などの列に整理します。保守用を選ぶとシリアル欄が加わります。
| 対象 | 主な取得内容 |
|---|---|
| 本体・マザーボード・筐体 | メーカー、モデル、取得可能なシリアル |
| CPU | メーカー、製品名、ソケット位置、コア・スレッド数 |
| メモリ | DIMM位置、メーカー、部品番号、容量、速度、シリアル |
| NVIDIA GPU | 製品名、PCI位置、メモリ容量、取得可能なシリアル |
| ストレージ | モデル、容量、シリアル、ファームウェアなど |
| NIC・拡張カード | PCI機能としての名称、vendor情報、位置 |
| 電源など | DMI登録情報。任意でローカルBMCのFRU参考情報 |
取得できない値は「未取得」と表示します。すべての部品や正確な販売型番を確定できるわけではありません。
1.ZIPを展開し、READMEと内容を確認する
Python 3.10以上を使用します。追加のPythonパッケージは必要ありません。
sha256sum -c SHA256SUMS
ツールは、既に導入されているdmidecode・lsblk・lscpu・lspci・nvidia-smi等を利用します。不足ツールの自動インストールは行いません。未導入の場合は取得状況に表示します。必要な追加導入は管理者の運用方針に従ってください。
2.共有用の部品一覧を作る
ZIPを展開したディレクトリーで、次を実行します。
sudo python3 sg-hardware-inventory.py --output inventory-shared
標準ではシリアル番号を出力しません。inventory-sharedという新しいフォルダーへ保存します。既存フォルダーは上書きしないため、再実行する場合は別の名前を指定してください。
sudoを使うのは、主にDMIなどの詳しい機器情報を読み取るためです。設定変更のためではありません。ダウンロードしたコードとREADMEを確認してから実行してください。
管理者権限がない場合も、取得できる範囲で実行できます。
python3 sg-hardware-inventory.py --output inventory-user
権限不足などで取得できなかった項目は、レポートの「取得状況」を確認します。
3.HTML・CSV・JSONを確認する
- inventory.html:ブラウザーで開く一覧。印刷にも使えます。
- inventory.csv:Excel等で扱う一覧。UTF-8 BOM付きです。
- inventory.json:同じ情報の構造化データ。社内の整理にも使えます。
ファイルは所有者だけが読み書きできる権限で作成します。sudo経由の場合は通常、呼び出した利用者が読める所有者になります。別端末で見る場合は、ご自身で出力ファイルをコピーしてください。
4.シリアル番号が必要な場合だけ保守用を作る
sudo python3 sg-hardware-inventory.py \
--include-serial --output inventory-private
この場合は、HTML・CSV・JSONのすべてにシリアル欄を含めます。標準の共有用では、MACアドレス・UUID・資産タグ・ホスト名・IPアドレスも出力項目に含めません。
共有用でも、構成情報そのものが機密になり得ます。 メーカーの自由記述欄に識別情報が含まれるケースまで完全には判定できないため、送信前に全体を確認してください。
また、後から共有用を作っても、以前の保守用ファイルは削除・匿名化されません。送るファイルを選び直してください。ツールから結果を自動送信することはありません。
電源などのFRU情報を追加するには
ローカルBMCのFRU情報を取得する場合は、任意で次を指定します。通常sudoとipmitoolが必要です。
sudo python3 sg-hardware-inventory.py \
--include-serial --include-fru --output inventory-fru
遠隔BMCへのログインや情報の書き換えは行いません。FRUとDMIには同じ部品が重複して出る場合があるため、参考情報として分けています。
A100・H100搭載サーバーでの検証結果
2026年10月26日、日本時間で以下を確認しました。
| 環境 | 主な取得結果 | 任意FRU |
|---|---|---|
| A100 PCIe ×4 / Ubuntu 24.04.4 | CPU2、メモリ16、GPU4、NVMeコントローラー4、電源2 | 取得成功 |
| H100 PCIe ×2 / Ubuntu 26.04.1 | CPU1、メモリ6、GPU2、ストレージ3、電源2 | ipmitool未導入と表示 |
両機で一般ユーザー実行・sudo共有用・sudo保守用の取得と保存を確認しました。保守用で取得したシリアルが、共有用のHTML・CSV・JSONに残っていないことも実機上で照合しています。
加えて、未登録値の扱い、HTMLのエスケープ、CSVの数式対策、既存出力の上書き拒否、ツール欠落、時間切れなど、16件のオフライン試験を行いました。
「部品一覧」と「完全なBOM」は違う
このツールが整理するのは、OSやファームウェアから取得できた情報です。
- GPUチップメーカーとカード製造元は別です。NVIDIAの表示から、カードの販売元まで断定しません。
- PCI機能数はカード枚数ではありません。 GPU欄とPCI欄に同じ機器が出る場合があります。
- NVMeの名前空間数はSSD枚数ではありません。 コントローラーと名前空間の容量を分けています。
- RAIDの奥の物理ディスク、CPU個体シリアル、ファン、ケーブルなどは取得できない場合があります。
- 未取得を正常と判定せず、実物のラベル・納品書と照合してください。
dmidecodeの公式説明でも、DMI情報の信頼性はメーカーの登録内容に依存し、無条件に信頼しないよう注意されています。dmidecode公式
構成確認・増設・保守の相談に
GPU Healthが「現在の状態を点検する」ツールなら、Hardware Inventoryは「何が搭載されているかを記録する」ツールです。両方をそろえると、相談前の情報整理に役立ちます。
相談窓口へは、実シリアルや秘密情報を除いた必要部分だけを本文に貼ってください。AIが一次対応し、部品固有の確認や交換判断、構築・購入相談は担当者へ引き継ぎます。